山口上映会 シゲさんレポート
2016年10月18日
見終わった時の率直な感想は「いい舞台だなぁ」と思いました。
舞台ではなく上映会という新しい形で、【イシノマキにいた時間】が、きちんと伝わるのかという不安と、これなら、『石倉くんがセリフを間違える事がない』という安心感を抱きながら、写真家の鈴木省一くんと客席に並んで観ていました。
山口での公演の問い合わせは、2015年の早い時期から声をかけていただいていました。どうしてもスケジュールが合わずに上映会という形で見ていただくことになりました。その後も今回の上映会の主催である中国曹洞宗青年会の方々が、3月のSMBCホールでの公演を見に足を運んでいただき「上映会としてでも、この作品を山口で出来ることになって良かったです。」と熱い言葉と思いをいただきました。
上映会の前日に山口に入り、映像チェックなど最終のリハーサルでした。準備をしていただいてる全員が、当たり前ですがスキンヘッドで、これでイカツい顔してたら引き返してましたが、みなさんお坊さんなので柔和な顔をしてるスキンヘッドなので、なんか清々しいです。
今回の上映会では、映像だけ見てもらって終わるのではなく、上映後に、鈴木省一くんがファインダーを通して切り取った石巻の風景や、石巻の人たちを見てもらいながら『今の石巻』を伝える時間を作っていただきました。
上映させてもらった映像は、2015年5月25日〜27日に紀伊國屋ホールで公演した舞台を収録したものです。編集や修正を繰り返して、何度もパソコン画面で観ていたのですが、やはり客席で観るのというのは、なかなかコッパズカシイものがあり、いい意味で違和感を感じました。自分の座席の前後や隣で観ているお客さんの反応を、その場で感じるというのは、舞台上でお芝居をしてる時に、直にお客さんの反応を感じるのとは全く違って、なんとも表現し難いムズムズとした感じでした。
冒頭で『いい舞台だなぁ』と思ったと書きましたが、それは、ひとつひとつのシーンやセリフを見ながら、あの頃一緒に活動していたボランティアメンバーの顔が浮かんできたからだと思うのです。ムズムズしながら観ていたのとは別に『これは、あの日に、アイツが言ったコトバだった。』と、ものすごく冷静かつ俯瞰で見ていた瞬間がありました。
前回の函館商業高校での活動報告にも書きましたが、僕の中では、この【イシノマキにいた時間】という作品は、純粋なお芝居として演じているのとは少し違って、あの頃発したダレカの言葉と思いを繋げた『記録と記憶』を伝えている感覚なのです。
上映会の後に、省一くんの写真で、あの頃に感じていた思いを話すことが出来ました。新しい形での【イシノマキにいた時間】が、お客さんに、どう伝わったのか、伝えることが出来たのか分かりませんが、大切なのは、僕たちがどう伝えたいか。なのではないかと思うのです。
中国曹洞宗青年会のみなさん、そして、山口県総合保健会館に足を運んでくださったみなさん、本当にありがとうございました。